夜も更け、ラウラはエプロンをはずし、腰を振り踊りだした。目がマジだ。
「足はテクニック、腰は気持ち!」
ベネズエラの音楽。バイオリンにフルート、クアトロという4弦の楽器。
「日本ならお祭りの音楽が一番近いと思う。」という、古典的な曲を、洗練させたCD。
ラウラの選曲、すごくセンスいい。
そう、この人、とてもセンスがいいのだ。
色彩感覚、料理の味の持っていき方、言葉の選び方。
とてもあたたかくて、クール。
そしてあたたかさのもとにあるものが、すごく力強い。
大好きだ。
昨日は、発売されたばかりの本をデザインしてくださった事務所で、打ち上げだった。
この事務所はとってもおもしろくて、都心のマンションなのだが、中に入ると、いきなり木の壁に障子がみえる。パソコンが並ぶ部屋で皆さん作業されており、その奥には、畳部屋がある。
「ベネズエラ人のイラストレーター、ラウラが、毎晩みんなのための夕食を作って、畳のへやで一緒に食べるんですよ。」
その話をうかがって、なんてすてきなデザイン事務所なんだ!と訪れる日を楽しみにしていた。
社長のコウダさんは、おっしゃる。
「一緒にごはん食べたらそこんちの子供だから。」
本の撮影の時には毎日、お忙しい中ハーレーに乗って、わざわざ私のごはんを食べにきてくださった。
スタッフみんなでごはんを食べる。それは私が本作りの中で1番と言っていいほど大事にしていることだ。
だから、そうやって通ってくださるコウダさんや、デザイナーのクロちゃんが、しっかりと料理を消化してデザインしてくださったのを拝見し、また印刷所まで何度も足をのばして力を尽くしてくださったと伺って、とてもとてもうれしかった。
「打ち上げはうちの事務所でやりましょう。ラウラが作ってくれるよ。」
デザイン事務所で本の打ち上げなんて、異例のことだけど、お言葉に甘えた。
わあ、ラウラの料理が食べられる!ベネズエラ料理って一体どんなの!?
初めてお会いしたラウラが作ってくれたのは、アレパ(トウモロコシのパン)やら牛肉の煮込み、アボカドのサラダ、チリのディップ、黒豆のスープなどなど。途中から台所に一緒に立って、いろんなおしゃべりをしながら、作り方を教えてもらった。台所から戻ってきた私をみて「ディズニーランドへ行ってきた子供みたい!」と編集のG仔が言った。
メンバーの誰一人欠けても、本は出来上がらない。
写真家さん、スタイリストさん、編集さん、デザイナーさん、版元さんに校閲さん、そしてアシスタントさんたち。
それぞれがそれぞれの思いを込めてくださって初めて、本に気が巡る。
だから、打ち上げのときはいつも、心からありがとうございます、という気持ちでいっぱいになる。
そこに、ラウラの料理があった。
南米のリズムにみんなの笑う声、空いたワインのボトル。
朝起きたら、遠い外国から、いっぱい旅のおみやげを持って帰ってきたときみたいな気持ちになっていた。
