いつの間にか4月 (パンの本ができました!)
書いても書いても先が見えない、
が、書かなくては仕事が終わらない。
桜は咲き、散っていった。
アッという間に、一ヶ月が経った。
だんだん手の甲の中指と人差し指につながる筋が、
腱鞘炎になって来た。
いくら料理をしても、こんなところ痛くなったことはないよ!
何なんだ、このいたみは!
そんなわけで、原稿書きに行き詰まっては、
下に降りて、新しいスタッフの顔を見て気を紛らわせる。
「先生、この賞味期限が切れたくず湯、どうしますか。」
「プッ!風邪気味だからショーガでも入れてあたしが飲むわ。」
とか
「この台、もうなくしちゃおう!台所を広くしよう!」
「そうしましょう。」
なんて話していると、少し頭が軽くなってくる。
そしてもう2階の書斎に上がるのはやだ!と思ったら、
このできたての本を取り出す。
「この本だって、出来上がるまでは大変だったもんねえ。そうだよねえ。でもちゃんと本になってるもんねえ。いつか、終わりはあるよねえ。そうだよねえ。」
「先生、それ大事です。」
スタッフに慰められる。
彼女が帰った後、私はひとりでパンをこねる。
手の甲に変ないたみがあっても、国産小麦と天然酵母のパンなら、
ゆっくりこねればいいから大丈夫。
強い力は必要ないし、マイペースにこねているうちに、
頭にのぼっていた血が降りて来て、
気持ちが休まり、ちょっと別の発想をしようか、という気分にもなる。
あとは、ボウルに入れて袋をかぶせ、(今の時期なら)朝までほったらかしにしておけばよい。
翌朝1次発酵が終わったものを、一度つぶして、成形し、
天板の上で膨らませて焼くだけ。
書く仕事が増えれば増えるほど、
パンをこねることが、極上のリラックスになってきた。
この作業は、頭脳から肉体、に戻してくれる。
しかも、天然酵母のこのゆっくりパンは、
ぴりぴりとした仕事の傍らで、
勝手に育っていくおおらかさがある。
発酵時間に神経質になる必要も無い。
そんなのんびりとした、普段着のパン作りの本を作ってみた。
とはいえ、いつもいつも、家の中でゆっくりとパン生地を見守る訳にもいかないのが実際だ。
こねはホームベーカリーに任せることだってあるし、
発酵まで機械の温度管理に頼ることもある。
くたびれているけど翌朝焼きたてが食べたいと思えば、
材料を入れるだけで、最後まで機械に焼き上げてもらうことだってある。
日々のパン作りというのは、そんなもんだろう。
臨機応変、融通無碍。
オーブンでも、ホームベーカリーでも。手ごねでも、機械ごねでも。
それらのどれにでも対応出来るような、本を作りました。
『おうちで天然酵母パン』(翔泳社)4月8日発売です。

