料理研究家 濱田美里

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料理本リレー

2020.04.25 │ ブログ

Instagramから投稿

主婦と生活社の編集さんチーム@ryourinohon からスタートした、インスタグラムの料理本リレー。

何冊かの本作りをご一緒したカメラマンの吉田篤史さん@yoshiatsu からバトンを受け取りました。

好きな料理本はたくさんありすぎて悩みましたが、
「ボロボロにした本」を基準に選んでみました!
10代、20代、30代に分けて書いてみます。


①『ラブおばさんのお料理バイブル』城戸崎愛(鎌倉書房)
『コマッタさんのぽんぽこおやつ』池上保子(あゆみ出版)

どちらも小学生の頃に読んでいた本でボロボロ。
今30年ぶりに見返してみると、
2冊とも、筆者の心のあたたかさがちりばめられた本だなあと思います。

『コマッタさんの・・・』は、文章だけの料理本なのですが、
毎晩のようにベッドの中で読んで、この本のおやつはいっぱい作りました。
私は、文章の中にちらっとはさみ込まれる池上さんの旅エピソードが大好きで、
特にパリのクレープとチベットティのお話が印象的で、
「いつか私も”ひとりぼっちの貧乏旅行”をしたい!」
と潜在意識におかしな夢がインプットされたことでした。

もう1冊の本は、ラブおばさん(城戸崎愛先生!)がイラストと文字で料理の基本を教えてくださるものなのですが、
小4の時に、日曜日だけ晩ごはんを作らせてもらっていた時期があって、
(かわいそうな家族は毎週それを食べなくてはならなかった)
ハンバーグとか、コロッケとか、マカロニグラタンとかの章は、
書き込みもしてボロボロになっています。
この本を見ながら、今週は何を作ろうかなあと考えるのが楽しみだったなあ。
子どもが読んでもわかりやすく、ものすごい情報量。
城戸崎先生やこの本作りに携わった方達の愛があふれています。
(同じ鎌倉書房さん×城戸崎先生の『赤毛のアンの手作り絵本』も大好きでした!)


②『辰巳芳子の旬を味わう』辰巳芳子(NHK出版)

こちらは大学を卒業してすぐの頃に出会った本。
当時、料理の世界に足を踏み入れたものの、どうやって基礎を身につけたらよいのか分からなかった私の教科書でした。
これも繰り返し読み込んで、ほとんどの料理を作ったなあ。
学生時代からの貧乏海外旅行を終え、自分の足元を見つめようとした時に、
西洋の智をとりいれながら、自国の文化を洗い直してくださる辰巳先生の手法はものすごく勉強になったし、
大事な「下ごしらえの仕方」もこの本でたくさん教わりました。



③”Cooking with Italian Grandmothers” Jessica Theroux(Welcome Books)

こちらは10年ほど前に出会った本。
著者のジェシカは、同世代のイギリス生まれアメリカ在住女性で、
食を探求するために、イタリアのおばあちゃんに料理を習う旅に出ます。
この本には、彼女が12人のイタリア女性に料理を教わる様子が綴られ、
私たちが再現できるレシピも、印象深い写真と共に載っているのですが、
イタリア女性が、季節の移り変わりや、土地に密着した生活からうみ出す料理が、とても美しく、力強く、胸を打たれますし、
女性達のこころにグッと入り込んで取材するジェシカのみずみずしい感性にもパワーがあります。

そして、なぜこの本がこんなにボロボロなのかというと、
好きすぎて、どうしても日本語版を出したくて、
(頼まれてもいないのに!)全ページを翻訳したからです。
残念ながらその夢はかなわず、まわりの友人たちに訳文をあげただけで終わってしまいましたが(笑)
本当にすばらしい本。
台所はその国の文化の根っこにつながっている、
そしてそこにはたくさんの物語が転がっていることをあらためて思い出させてくれます。

________
以上が私のボロボロ料理本でした!
さて、リレーのバトンは、
これまで何冊もの料理本を一緒に作ってきた編集者の斬波朝子さん@officecuddle にまわしたいと思いますー。
よろしくね?

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