料理研究家 濱田美里

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2015年1月『濱田美里の郷土料理①広島篇』

2015.02.14 │ いままでのメニュー

『濱田美里の郷土料理①広島篇』
〜今年は、各県の郷土料理をご紹介していきたいと思います。
基本的には、その土地ならではのもの、古くから伝わってきた料理をお伝えしますが、
もちろん現代の食卓で作りやすい量、モダンな味つけにして、
多くの方に楽しんでいただけるようなレシピを濱田美里が作ります。
第1回目は、広島、瀬戸内地方のハレの料理です。〜

・カンタン豪華!鯛そうめん(温かい鯛料理です)
・牡蠣ごはん
・雪花漬け
・いぎす豆腐
・レモンもち
・自家製ポン酢の作り方

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郷土料理シリーズ第一弾は、
私のふるさとである広島瀬戸内地方の料理をピックアップしました。
大人になってから取材して歩いたので、
18歳まで育った私でさえ、知らなかった料理もあります。
きっと皆さんにとっても、新しい料理ばかりではないでしょうか。

鯛そうめんは、結婚式などで作られることが多かった料理だそうです。
私は大崎上島の99歳のおばあちゃんに教えていただきました。
鯛でとるスープが実に繊細で美味。
作り方は超簡単な割に、見た目もダイナミックでおもてなしに使えます。

牡蠣ごはんは、私が子供の頃は、磯でとれる岩についた小さな牡蠣で作るものでした。
今はもう、あの懐かしい牡蠣がとれなくなっているのだそう。
残念ですが、東京でも手に入るパックの牡蠣で作れるおいしい牡蠣ごはんの作り方をご紹介しました。
地元では、里芋や人参を入れるおばあちゃんたちもいらっしゃるのだけど、今回はシンプルバージョンで。

雪花漬けは、宮島地方のお料理です。(上から3つ目の写真です)
おからを雪に見立てて散らすので、雪花漬け。
穴子に小エビ、酢締めのこのしろ、と瀬戸内海の幸満載のこまやかなごちそうです。
全国各地で、おからを使った料理は見てきましたが、
私の知る限り、もっとも洗練されたおからの使い方ではないでしょうか。
このまま再現するのは大変ですが、ぱらぱらおからは、
ちょっとした酢の物にかけるだけでも目先の変わった料理ができるので、
私はそんなふうに普段の料理にも応用しています。

いぎす豆腐は、いぎすという海藻を溶かして、固めて作ります。
驚くべきことは、生大豆粉とあわせるということ!
いったいだれがこんな斬新な組み合わせを思いついたのでしょうか。
この海藻は、大豆粉と一緒に煮ると、なぜかスルスルと溶けていくのです。
そして、常温でしっとりと固まるのです。
大豆が入ることで味もまろやかになって、栄養的にもばっちり。
美容食として、ぜひ広めたい料理です。

デザートのレモンもちは、私の亡き祖母が、
「柏餅を作ろうと思って山に行ったら柏の葉っぱが無かったので、かわりにレモンの葉っぱで作った」
のが始まりのおやつです。
レモンの葉の香りは、汁よりも鮮烈です。
それが和風のだんごとくみ合わさって、まったく新しい和菓子になっていると思います。

最後のおまけは、ポン酢の作り方。
広島ではこの時期、木にだいだいの実がなり、
酢ガキやナマコ酢などにじゃんじゃん使います。
たくさんとれたらポン酢にしておけば、1年使うことができます。
手作りのポン酢はとってもおいしいので、皆さんと一緒に作りました。

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このシリーズを始めるにあたって、
郷土料理は、その土地土地の必然から生まれた料理ですから、
離れた東京でそれを再現することに意味があるのだろうか、と少し悩みました。
その地域でしか手に入らない材料や道具もありますし、
作るのに手間がかかりすぎるものもあります。
でも、長く続いてきた料理の中には、たくさん知恵が転がっています。
ちょっとでもそのエッセンスを日常の生活に役立てていただけたらうれしいし、
旅に行くような楽しさも味わっていただけるかもしれません。
まずはやってみよう。
そんな思いで今年の教室をスタートさせました。

一月の広島篇を終えた私の率直な感想は、
予想以上に皆さんがたくさんのものを汲み取ってくださったなあ、
というものでした。
皆さんの感想を、本当にうれしく、読ませていただきました。
今年はいろんな地域のいろんなお料理をご紹介しますね。
楽しみにしていてください。

(投稿:美里)


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