料理研究家 濱田美里

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新年のごあいさつ

2019.01.05 │ ブログ

新年あけましておめでとうございます。今年はなんだかあっという間にお正月が終わってしまった感じですね。


私はいつものように広島で新年を迎えました。いつもと違ったのは、初めて買ったおせちをいただいたこと!!
京都の2軒のおせちをお取り寄せしたのですが、なぜかというと、こんなわけです。


私自身のおせちは生まれ育った広島の実家の味をベースに、20年以上暮らした関東(江戸)のおせちが基本になっていて、教室で11年皆さまにお教えする中で、年々少しずつマイナーチェンジを続けてきました。


しかしここにきて、大きく自分の舌が揺さぶられております。というのも、関東と関西は本当に文化がちがう!


私はどこヘ行っても食からその土地をとらえてしまいますが、東京と神戸では、食べることのまわりすべて(食材や味にとどまらず、食卓でのコミュニケーションのとり方からエプロンの柄まで)、同じ日本でもまったく文化が違うことに驚くばかりの2年間で、そのことが本当におもしろく、たくさん影響を受けたのと同時に、古典的な日本料理を取り上げる際に、どこに着地したらよいのか混乱しているところもあり、あらためて、何か関西の味の指針のようなものを感じてみたかったのです。


そんなわけで、今年は「皆でああでもないこうでもないと言いながらよそで作られたおせちをつついて楽しむ」という初めての体験をしました!感想は、すばらしかったー、の一言です。特に吉兆のおせちは、一切の媚びが無く、スパンと竹を割ったようなお味でした。(そこはちょっと江戸料理にも通ずるように感じましたが、味の決め方(特に醤油の控え方)がやはり関西だなあと思いました)余計な飾りがまったくないシンプルさ故に、訓練された包丁使いや、素材の選び方、時間の足し引きの絶妙さが際立っていました。


それを一通りいただく、という体験は、そこに通底する音楽を感じるようなもので、むかし歌の先生がおっしゃっていた「耳が先なのよね。」という言葉を思い出しました。「音楽家は耳が先。いい音楽を先に聞くこと。だからいくつになってもどれだけできるようになっても、追いつけないのよ。どこまでいっても、耳が先。」


ただただすごいなあと嘆息する部分、ここまでは自分も出来ていると再確認する部分、この辺りに決めればいいのかと指針に出来る部分。よいお手本を持つこと。


そうだ、今年は「初心に還る」ことが出来る場所や、まだまだ自分がちっぽけだと感じられるものに出会う機会をたくさんもちたい、進んで足を運ぼう、と誓ったお正月でした。


広島のあちこちの山肌にはたくさんの傷跡が残っていたけれど、青い空にみかんののどかさは変わりなく、ふるさとで力をもらってきました。本年もしっかり働きます!どうぞよろしくお願いいたします。


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