料理研究家 濱田美里

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和食

2019.10.25 │ ブログ

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本日、10月のレッスン「濱田美里の和モダン松花堂弁当」が終わりました。
(ご参加の方々のご感想をLessonのページにアップいたしました!)

今週は4日連続で作り続け、私たちも食べ続けましたが(^^)、和食は飽きないですねー。
海のうまみをかけ合わせただし、そして素材の味を生かした薄味は、自然への敬意そのもの。
この国の文化を本当に誇りに思います。

20代の頃、私にお料理を教えて下さった師匠がこんな話をしてくれたことがあります。
小さな頃、明治生まれのお母様が師匠にお豆を煮てみなさいとおっしゃって、師匠は初めてウズラ豆を煮てみたのだそうです。それがうまくいかなかった時、師匠をお呼びになって、お母様はこうおっしゃったそうです。

〜◯◯子(師匠のお名前)、ここにお座りなさい。
ものを煮る時は、まずは水かおだしでゆっくりとやわらかく煮なさい。
その後、味をつけさせていただく、という気持ちで味を入れること〜

「母が私に料理の事を口で教えたのは、そのたった1回だったわね。」

確か、お茶の時間に何気なくお話し下さったことだったと思いますが、
少しでも師匠の味の本質に近付きたかった私にとって、そのお言葉は、胸に強く強く焼き付くものでした。
インドやアフリカの旅から帰って来た後だったこともあり、日本ってなんて素敵な国なんだろう、とも思ったことでした。

スパイシーでパンチのある味も好きですし、勢いよく仕上げる料理もまた好きですが、
静かな味の和食を作る時、鍋に向かう私の心には、いつもこの「味をつけさせていただく」という言葉が浮かびます。
今日もまた大変な雨が降り、自然はやさしいばかりではありませんが、
その恵みをいただくときの、この国の先人達の感性は、大切に伝えていきたい、と思っています。

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