料理研究家 濱田美里

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野良料理のきらめき

2023.10.02 │ ブログ

近所の中国人ご家族が、ちょっとしたお祝いにと、
手作りランチにお招きくださいました。

(→このお宅の小学生の男の子は、完璧な日中のバイリンガルで、
私はいつもその辺で彼と会うたびに、
あやしい中国語の発音を直してもらっているんです><)

メニューはなんと、大好きな牛肉麺と餃子!!!
私はもううれしすぎて、ノートとカメラを前の日からしっかりスタンバイ。
作るところもぜひ見せて〜と早めに伺って、
たくさん教えていただきました。

餃子の皮を伸ばすときの体重の乗せ方とか、具に卵が入るところとか、
牛肉麺のスパイスの効かせ方とか、なるほど〜と学ぶところがたくさん。

どれも本当においしくて、ありがたくいただいたのですが、
一番心に残ったことは、彼女が何度も中国語で、

「私のはお店の料理じゃないし、自己流の“イエシェン料理”だから、恥ずかしいわあ。」

といった趣旨のことを話していて、

「イエシェン」というところがよく聞き取れなくて、文字で書いてもらったら、

「野生」つまり日本語で言うところの「野良(ノラ)」みたいな意味なんですね。

ううん。そんなことはないよ。
野生菜、、、家常菜正是我想知道的。
それこそが私の知りたいこと。

なぜ、大学でアメリカ文学を専攻していたあなたが料理の道に進んだのか、
という彼らの質問に対して、深いところまで答えられる中国語の力がまだ私にはなくて、
とっさにうまく返事ができなかったのですが、

まさにその「野良料理」、その土地土地で、その家々で、自然発生的に生まれた家庭料理のきらめきに
私は取り憑かれてしまったのだったなあと、
国内外のたくさんの台所を訪ね歩いた若い頃を思い出させてもらいました。

それから今回出会った、大ヒット調理道具はこれ!!!
1枚目の写真の、包んだ餃子を並べる「餃子用のざる(?)」。

中国ではどの家にも普通にあるものらしいのですが、
これに並べると、しばらく置いておいても餃子が下にくっつかないんですね。

餃子を皮から作ると、いつも茹でるまでに下にくっついてしまうので
私はしょっちゅう冷凍庫に移していたのですが、
こんな道具があるなんて!

その土地から生まれたお料理も、道具も、人の言葉も、
本当に楽しい。興味が尽きることがありませんね。

お礼にリクエストの日本のお味噌汁の作り方をレッスンして、
おなかも心もポカポカで、家に帰りましたー。


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